第1回例会



●講師 岩崎正法
国立音楽大学音楽学部器楽学科(オルガン)を首席で卒業。
日本オルガニスト協会(JOA)会員、日本オルガン研究会会員、Niigataオルゲルフロイデ主宰、オルガニスト。
合唱団「みち」指揮者。

新潟に現在ある、6台のパイプオルガンの見学を含めたオルガンを知って、見て、さわってみる楽しい講座です。

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第2回例会



クラシック音楽が、本格的に日本に入ってきてから100年がたちました。この間、私達はその深い精神表現に畏敬を感じながらも楽しんできました。そんな中で、最もミステリアスなものの一つがオルガン音楽でしょう。
まず、ギリシャ時代から現代までとぎれることなく続くその息の長さ。それに、たて笛を沢山ならべ「鍵盤」というヨーロッパ合理主義の神髄のようなメカニックによる発音体系。大きな教会と結びついて、その精神的中枢に位置する雄姿。国を越え、時代を超えた膨大な作品群。どこから見てもまさにヨーロッパ合理主義の文明そのものです。そのあまりの巨大さのために、素晴らしいと解っていながら何となく敬遠していましたが、新潟市に新しく大きなオルガンが設置されることになりましたので、この機会に少し勉強してみようと思い立ちました。
現在、市内には3種類の異なった機構を持つパイプオルガンが6台あります。その上専門知識を持った学者や演奏家が在住しています。興味を持っている愛好家もたくさんいます。そこに新しいオルガンが入ってきます。このチャンスを逃す手はないと思います。各地のオルガンの弾くくらべなどもやりながら、楽しく続けたいと思っています。

(新潟オルガン研究会、パトス音楽村長・久保井洋允


●講師 松本 彰(新潟大学人文学部教授)
オルガン、チェンバロ、ピアノの基本的性格-鍵盤楽器の社会史のために
はじめに
1.オルガン、チェンバロ、ピアノの発音原理・歴史・場・身分
2.鍵盤楽器の歴史的性格-とくに調律法(音律)について
3..鍵盤楽器の身分的性格-とくに市民と賎民について
4.クラヴィコードについて
おわりに

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第3回例会




<プログラム>
N.bruhns(1665-1697)
前奏曲 ホ短調

J.S.Bach(1685-1750)
「オルゲルビューヒライン」より 古き年は過ぎ去りぬBWV614
「17のコラール」より 我、神より離れじBWV658
フーガ ト短調BWV578
フーガ ハ長調BWV545

S.Karg-Elert(1877-1933)
「コラール即興曲」より おお我が魂よ、大いに喜べ

山田耕筰
「大中寅ニ」に 前奏曲(フーゲ)
演奏:岩崎正法

J.S.Bach
小曲集より 主イエスキリストよ、我汝を呼ぶBWV639
フーガ イ短調
演奏:山田淳子

G.フォーレ
小ミサより サンクトゥス
TRADICIONAL/ 作曲 MARY SHAINAM/編曲
HAIL HOLY QUEEN
演奏:合唱団「みち」

●講師 林 豊彦(新潟大学工学部福祉人間工学科教授)
「プリトニク先生とパイプオルガン・リサイクル」

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第4回例会



オルガンは、楽器の分類の上では、鍵盤楽器の一つ、といわれます。日本で一番よく知られている鍵盤楽器ハピアノデスガ、ピアノとオルガンはどこが違うのでしょうか?この機会に考えてみましょう。ピアノとオルガンは、鍵盤の部分は似ていますが、楽器にとってもっとも大事な発音の仕方が全然違います。ピアノが弦をたたいて音を出す打楽器であるのに対し、オルガンは管に空気を入れて鳴らす管楽器です。ピアノを弾いている人がオルガンを弾くと、まごつくことがたくさんあります。強く打鍵しても音は強くなりませんし、ピアノのダンパー・ペダルのようなものがないので、同じ鍵盤楽器でありながら、弾いたときの感じが全く違ってくるのです。オルガン用の曲をピアノで弾くとどうなるか、実験したりしながら、オルガンらしさとは何なのか?オルガン音楽の魅力はどこにあるのか?考えたいと思います。

松本 彰


演奏:岩崎正法・山田淳子
G.フレスコバルディ:音楽の花束より 聖体奉挙のためのトッカータ 他
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第5回例会




日本のオルガン事情について
演奏・お話:岩崎正法

J.S.バッハ
ノイマイスターコラール集より
氈u主よ あわれな罪人の私を」BWV742
「キリストよあなたに栄光」BWV1097
。「主よ私達を御言葉のもとにとどめて下さい」BWV1103
演奏:佐藤さおり

J.S.バッハ
平均律1巻-17番
オルガンは笛の集合体
お話:岩崎正法

古いオルガン曲「耕母黄昏」
岩崎正法作曲「万葉のKODO」

G.フォーレ
小ミサより「サンクトゥス」

講師 林 豊彦
キーボードの話し

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第6回例会



松本 彰(新潟大学人文学部教授)


17、8世紀、つまりいわゆるバロック時代のドイツのオルガン音楽は、多彩なオルガン音楽の中でも、ひときわ目立った高い峯ということができます。その豊かな流れは最後にJ.S.バッハ(1685-1750)によって集大成され、多くの名曲が知られています。
ただ、とくに日本ではバッハがあまりに有名で、その前と後のことは、そうよく知られていないように思います。
ベートーヴェンがバッハは「小川(ドイツ語ではBachは小川を意味する)ではなく大海(Meer)だ」と言ったことは有名です。ほんとうに、バッハには、それまでのあらゆる音楽が流れこんでいるのですが、今日は、そのバッハのちょっと上流とちょっと下流まで、散歩をしてみましょう。
その散歩のための地図を理解する上で大事なことをひとつ。ドイツの音楽を考える場合、ドイツの北と南では大きく文化が異なるということを理解しておく必要があります。すなわちルターの宗教改革以降、北がプロテスタント地域になるのに対し、南はカトリック地域にとどまることになりますが、この宗教の違いは、宗教のみならず文化、社会、政治、あらゆることに大きな影響を与えつづけました。
カトリックの総本山はいうまでもなくローマ、カトリックの文化の基本はラテン語に基づくミサなどの典礼です。音楽でも対位法に基づく声楽曲の長い伝統があります。カトリックの地方には、イタリアやフランスの影響がつよく、宮廷を中心にドイツでも華やかなバロック音楽が花開きました。そもそもドイツは当時、文化的後進国でしたから、とくに貴族たちはフランスにあこがれつづけました。そのような中で、器楽曲も伝統を受けつぎつつ、次第に独自なものがつくられていくようになります。
それに対し、ルターの宗教改革にはじまるプロテスタントは、ルターがドイツ語に訳した「聖書」にその信仰の基礎をおき、聴衆も歌えるコラール(ドイツの「賛美歌」)が宗教音楽の基礎になっていきました。そこにはコラールはバッハの「マタイ受難曲」やカンタータの基礎になるとともに、バッハはコラールをもとにした変奏曲をたくさん作っています。北ドイツではとくに都市を中心に市民の独自な文化が盛んになります。北ドイツの文化圏はオランダ、ベルギー、そしてデンマークなどと直接つながっていて、密な交流があったことも大事です。
今日のプログラムの前半では、北ドイツのプロテスタントの伝統と関わりの深い変奏曲とコラール、後半では南のカトリック地域の曲、とくにフーガ(もちろんフーガはプロテスタントの音楽にも用いられるようになります)の演奏を聴くことになります。

演奏曲目

ヤン・ペーターゾーン・スウェーリンク(1562-1621)
変奏曲「わが青春は過ぎ去りぬ」

マルティン・ルター(1483-1546)
コラール「いと高き天より我は来たりぬ」

ヨハン・カスパー・フェルディナンド・フイッシャー(1665-1746)
二つのフーガ

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
フーガ ト短調


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第7回例会



<プログラム>
賛美歌「いずこの家にも」
J.P.スウェ-リンク:トッカータ(エオリア)
J.S.バッハ:トッカータ ニ短調BWV565
演奏:岩崎正法

G.フォーレ:小ミサ曲
演奏:合唱団「みち」/ソロ・西門優子/オルガン・山田淳子

シンプソン:愛しのロビン
わらべうた:ずいずいずっころばし
リコーダー演奏:アンサンブル・フローレ

ビゼー:アニューズディ
演奏:テノ−ル・飯田典夫/オルガン・石川裕美

J.S.バッハ:トッカータ 「オルガン小前奏曲集」より 古い年は過ぎ去りBWV614 演奏:本間真弥

J.S.バッハ:トッカータ 小プレリュードとフーガ ト短調BWV558
パッヘルベル:トッカータ ホ短調
演奏:石川裕美

J.S.バッハ:小プレリュードとフーガBWV560
J.S.バッハ:オルガン小前奏曲集より おお人よ、汝の大いなる罪を嘆けWV622
演奏:山田淳子

<クリスマスのうた>
もろびとこぞりて
牧人ひつじを
あらの野はてに
わたしの愛しきヨセフ
いざうたえ
演奏:ソプラノ・西門優子/オルガン・山田淳子

賛美歌「きよしこの夜」
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第8回例会


チェンバロとオルガンは、音だけを聴いていると、ずいぶん違います。発音原理からすれば、チェンバロが弦を弾く弦楽器であるのに対し、オルガンはパイプを鳴らす管楽器ですから、全く異なります。しかし、バロック音楽の時代まで、この二つの鍵盤楽器は相互に深い関係を持っていました。この時代の鍵盤音楽作品は、どちらでも弾ける曲が多くあります。
チェンバロの復興以来、鍵盤楽器の歴史的奏法についての研究が進み、オルガンの演奏法について、ピアノより、むしろチェンバロとの共通点が多いことが指摘されるようになってきました。実際、チェンバロとオルガンというこの二つの鍵盤楽器は、どちらも鍵盤の操作だけではピアノのように強弱がつかないため、アーティキュレーションが決定的な意味を持つなど、演奏法を考える場合、共通する点が少なくありません。

演奏とお話 月岡正暁

ジャン-フリップ・ラモー
[恋の嘆き]
[ソローニュの愚か者]
[変奏 その1]

ヨハン・ゼバスティアン・バッハ
[ゴールドベルク変奏曲より「アリア」]

ヨハン・クリストフ・フリードリヒ・バッハ
[明日、サンタがやってくる]

お話「20世紀におけるオルガンの軌跡」

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