新潟オルガン研究会 第36回例会



バレンタイン・オルガンコンサートin 新潟福音教会
Valentine Organ Concert in Niigata Fukuin Church

【プログラム】

オープニング/聖歌237番「愛しまつる主よ」
 新潟福音教会聖歌隊(合唱)

第1部 手をとりあってHand in hand
作曲者不詳/グリーンスリーヴス
  大作 綾(リコーダー),海津 淳(オルガン)

C.フランク/天使の糧
J.W.ツァハウ/いと高きところに神にのみ栄光あれ
森山直太朗/さくら
中村正人/Love Love Love
  滝沢すみれ(ソプラノ),五十嵐正子(オカリナ),市川純子(オルガン)

第2部 ドイツ・オルガン音楽の大河Big River of German Organ Music
J.S.バッハ/《クラヴィーア練習曲集 第3部》より 前奏曲 変ホ長調 BWV552/1
  渡辺まゆみ(オルガン)

S.シャイト/エコー
  八百板正己(オルガン)

J.J.フローベルガー/トッカータ
  海津 淳(オルガン)

J.パッヘルベル/トッカータ ハ短調
J.S.バッハ/《オルガン小曲集》より「我ら悩みのきわみにありて」 BWV641
  鈴木彩子(オルガン)

J.S.バッハ/《クラヴィーア練習曲集 第3部》より フーガ 変ホ長調 BWV552/2
  市川純子(オルガン)

日 時:平成16年2月8日(日)午後2時開演
会 場:日本同盟基督教団 新潟福音教会(新潟市高美町1-15)
参加費:800円(全席自由)
主 催:新潟オルガン研究会
後 援:新潟福音教会

【曲目解説】
作者不詳 <グリーンスリーヴス>
 16世紀,チューダー朝イングランド.エリザベス一世の輝かしい統治のもと,人々は繁栄を謳歌し,音楽の領域でも様々な楽器 ―ヴィオール,リュート,ヴァージナルそしてリコーダーが愛好され,独奏に合奏に優れた作品が生みだされていった.ここで生き生きとした変奏を繰り広げるのは当時の恋歌,シェイクスピアの《ウインザーの女房たち》にも顔を見せる<グリーンスリーヴス>(緑の御袖)のメロディである.(本作品はThe Division Flute, 1706. に収録)(海津 淳)
C.フランク(Cesar Franck, 1822-90)
天使の糧(パン)
 セザール・フランクは19世紀,フランス・ロマン派を代表する作曲家,オルガニスト.この曲は,フランクの深い信仰に根ざした優美な旋律のために,広く親しまれている.(五十嵐正子)
J.W.ツァハウ(Friedrich Wilhelm Zachau, 1663-1712)
「いと高きところに神にのみ栄光あれ」
 旋律はイースター(復活節)およびアドヴェント(待降節)の典礼歌.G.F.ヘンデルの最初の先生であり,ハレの聖母教会のオルガニスト,J.W.ツァハウの作品.『神の御恵みに感謝せよ.主の喜びを注ぎ,絶えることのない大きな平和が訪れ,すべての争いは絶える・・・』という内容です.(五十嵐正子)
森山直太朗(Naotaro Moriyama, 1976-)
さくら
 有名なフォーク歌手を母にもつ新進のシンガーソングライター,森山直太朗の初ヒット曲.昨年春,桜前線と共に全国に伝わったという.少年時代はサッカーに熱中し,本格的にギターと作曲を始めたのは大学時代から.デビューは2001年.(五十嵐正子)
中村正人(Masato Nakamura)
Love Love Love
 今年で結成15周年を迎えた人気グループ,ドリームズ・カム・トゥルーの大ヒット曲. 1995年,邦楽シングル売り上げ第1位を記録した.現在でもカラオケでよく歌われ,テレビドラマの主題歌やコマーシャルにも使われている.(五十嵐正子)
J.S.バッハ(Johann Sebastian Bach, 1685-1750)
《クラヴィーア練習曲集 第3部》より 前奏曲 変ホ長調 BWV552/1
 この前奏曲とフーガは《クラヴィーア練習曲集》第3部の最初と最後に分離されて置かれ,1739年に出版された.第1主題はフランス序曲風付点リズム,第2主題はシンコペーションのリズム,第3主題は特徴的な16分音符の下降音型をもつ.神聖な均整美を誇る名曲である.BWV544 (ロ短調),546(ハ短調),547(ハ長調),548(ホ短調)の前奏曲とともに,ライプツィヒ時代の5大プレリュードの一つに数えられている.(渡辺まゆみ)
S.シャイト(Samuel Scheidt, 1587-1654)
エコー
 初期バロックのドイツを代表するオルガン音楽家シャイトは,代表作のオルガン曲集《新譜表 Taburatura nova》(1624年刊)によりドイツ・オルガン音楽の発展に大きく貢献した.本日演奏する「エコー」もその中の1曲で,バロック音楽の理念の一つである「対照(この場合は強弱のコントラスト)」を2つの鍵盤の頻繁な交代によって表現している.(八百板正己)
J.J.フローベルガー(Johann Jacob Froberger, 1616-67)
トッカータ
 ハプスブルグ家に仕えた17世紀のオルガニスト,フローベルガーは本拠地ウィーンのみならずヨーロッパ各地で演奏を行い,フランスの舞曲をはじめとする各国の様式を自らのものとした.そうした中でこのトッカータは,彼の師であるローマのフレスコバルディの作風を受け継ぐイタリア様式の作品である.大胆かつ神秘的な展開,特徴的なリズムやパッセージはまた,この音楽が典型的な「聖体奉挙のためのトッカータ」であることを示している.(海津 淳)
J.パッヘルベル(Johann Pachelbel, 1653-1706)
トッカータ ハ短調
 パッヘルベルは,ドイツ・中期バロック時代のオルガニスト,作曲家.ドイツ各都市のオルガニストを歴任し,アイゼナハではバッハ一族と親交を結ぶ.このトッカータは,多くの速いパッセージを含むため,技巧的で華やかな印象を与える.トッカータの他にはコラール前奏曲や変奏曲が有名.作品にはオルガン曲以外にも組曲,室内楽曲,声楽曲などがある.(市川純子)
J.S.バッハ(Johann Sebastian Bach, 1685-1750)
《オルガン小曲集》より「我ら悩みのきわみにありて」 BWV641
 このコラールは,「主イエス.キリストに救いを求めるために祈リ続ける」という内容をもつ.全体に美しく敬虔な祈りを感じさせる.この曲の装飾音は,“人間の心が不安を持ちながらも神を求めている”という深い意味を含んでいる.(市川純子)
J.S.バッハ(Johann Sebastian Bach, 1685-1750)
《クラヴィーア練習曲集 第3部》より フーガ 変ホ長調 BWV552/2
 オルガンのためにバッハが作曲した唯一の三重フーガであるこの曲は,前奏曲と同様に三位一体を表している.作品全体の主要主題でもある第1フーガの主題は純粋で気高く,まるで教会音楽のように響く.第2主題は静かで謙虚に進み,途中で加わる第1主題がそれを引き立てる.明るく快活な第3主題が始まると,まず第1主題が重なり,次に第2主題も現れて徐々に高揚していく.最後は主の栄光を表すかのように華々しく締めくくられる.(市川純子)