新潟オルガン研究会 特別演奏会 秋のパイプオルガンコンサートin 高田カトリック教会 Autumn Organ Concert in Takada Catholic Church 【プログラム】 J.J.フローベルガー(Johann Jacob Froberger, 1616-67) トッカータ オルガン独奏 海津 淳 D.ブクステフーデ(Dietrich Buxtehude, 1637?-1707) コラール幻想曲「暁の星はいと美しきかな」BuxWV223 オルガン独奏 渡辺まゆみ N.ブルーンス(Nicolaus Bruhns, 1665-1697) 前奏曲とフーガ ホ短調 オルガン独奏 大作 綾 J.S.バッハ(Johann Sebastian Bach, 1685-1750) 17のコラールより「イエス、キリスト我らの救い主」BWV665 オルガンコンチェルト第4番 ハ長調 BWV595 オルガン独奏 市川純子 J.ラングレ(Jean Langlais, 1907-1991) 3つのグレゴリオ聖歌のパラフレーズより 感謝の讃歌「テ・デウム」 オルガン独奏 渡辺まゆみ 日 時:平成15年11月16日(日) 午前10時30分開演 会 場:高田カトリック教会(上越市西城町2-3-12) 入場料:無料(全席自由) 連絡先:高田カトリック教会 Tel: 0255-23-5348 主 催:新潟オルガン研究会 【使用オルガン】 鍵盤数:2段手鍵盤,足鍵盤 ストップ数:10 パイプ数:575本 アクション:機械式 製作:マッシオーニMascioni(イタリア) 設置:2002年9月 |
【曲目解説】
J.J.フローベルガー(Johann Jacob Froberger, 1616-1667) トッカータ ハプスブルグ家に仕えた17世紀のオルガニスト.フローベルガーは本拠地ウィーンのみならずヨーロッパ各地で演奏を行い,フランスの舞曲をはじめとする各国の様式を自らのものとした.そうした中でこのトッカータは,彼の師であるローマのフレスコバルディの作風を受け継ぐイタリア様式の作品である.大胆かつ神秘的な展開,特徴的なリズムやパッセージはまた,この音楽が典型的な「聖体奉挙のためのトッカータ」であることを示している.(海津 淳) D.ブクステフーデ(Dieterich Buxtehude, 1637-1707) コラール幻想曲「暁の星はいと美しきかな」 BuxWV223 J.S.バッハに多大な影響を与えたブクステフーデは出生地(当時のデンマーク王国)で父からオルガンの手ほどきを受け,後に北ドイツのリューベックにある聖マリア教会で生涯オルガニストを勤めた.クリスマスのコラールに基づくこの曲では,コラールの各行が様々な手法で奏される.リズミカルな音型と跳躍した3連符のグループは暁の星のまたたく様を暗示し,連続した音階的進行はキリスト降誕の情景を思わせる.(渡辺まゆみ) N.ブルーンス(Nicolaus Bruhns, 1665-1697) 前奏曲とフーガ ホ短調 ドイツ後期バロック時代の作曲家,オルガニスト,ヴァイオリニスト.北ドイツ・オルガン楽派の巨匠D.ブクステフーデより作曲とオルガンを学ぶ.優れたオルガン曲と教会カンタータを残し,J.S.バッハも彼の作品を高く評価していた.前奏曲とフーガは4曲残されており,ホ短調の作品は2曲ある.本日演奏される曲は「大ホ短調」と呼ばれ,彼の代表作といえる傑作.曲の構成は,1.トッカータ 2.第1フーガ 3.トッカータ 4.第2フーガ 5.コーダ(トッカータ)の5部からなる.(大作 綾) J.S.バッハ(J.S. Bach, 1685-1750) 《17のコラール》より「我らの救い主なるイエス・キリストは」BWV665 オルガン・コラール集《17のコラール》は,すべての曲に若い頃に書かれた旧稿が存在し,晩年にそれらを改訂・補筆して作られた曲集である.この15曲目のコラールは,バッハ最晩年の1746/47に楽譜帳に記入された.この曲は聖体拝領のコラールで,定旋律はペダルに現れる.手鍵盤の下降半音階と上昇音型がそれぞれ「苦しみ」と「救い」を象徴している.(市川純子) オルガンコンチェルト ハ長調 BWV595 ヴァイマル時代の君主ヴイルヘルム・エルンスト候の甥,ヨーハン・エルンスト公子が作曲したヴァイオリン協奏曲の編曲.バッハは公子の依頼により,この協奏曲全体を以前にチェンバロ用に編曲していた(BWV984).その第1楽章をさらにオルガン用に編曲したもの.この曲はバッハの他のどの曲よりも頻繁に手鍵盤の交代が要求されており,それによるトゥッティとソロの音色の対比が聴きどころ.全体に明るく,軽快な中にも響きの美しさが感じられる曲である.(市川純子) J.ラングレ(Jean Langlais, 1907-1991) 3つのグレゴリオ聖歌のパラフレーズより 感謝の讃歌「テ・デウム」 ラングレはフランスの盲目の作曲家.1945年,オルガン典礼運動の代表者シャルル・トゥルヌミールから聖クロチルド教会のオルガニストの地位を引き継いだ.この曲は石造りの教会に朗々と響きわたるかのような聖歌の断片をはさみながら荘厳な趣で始まる.中間部では一転して静かになるが,次第に音色や速度を増しながら,堂々としたクライマックスを迎える.(渡辺まゆみ) |
高田カトリック教会のパイプオルガン 林 豊彦(新潟大学工学部福祉人間工学科教授)
新潟県には本格的なパイプオルガンはまだ数少ない.独立した足鍵盤のパイプをもつオルガンは,この教会のオルガンを含めてわずか5台しかない.その意味でもこの楽器は貴重だ. このオルガンを作ったマッシオーニ・オルガン工房は,北イタリアのスイス国境近くの森と湖に囲まれた町,ヴァレーゼVareseの近郊にある.創業は1829年,いまの社主は6代目だそうだ.この170年間に1,100台以上のオルガンを製造し,外国にも輸出している.日本には私が確認した限り9台の楽器がある.ほとんどが小型のオルガンだが,東京カテドラル聖マリア大聖堂にいま建造中の楽器は,手鍵盤3段・足鍵盤,46ストップ(パイプ数:3130本)の大オルガンだ. 高田教会のオルガンの特徴は,第1手鍵盤のグレート・オルガンがおもに金属開管のプリンシパル系,第2手鍵盤のポジティフ・オルガンが木閉管のフルート系から構成されていること.前者のきらきらした華やかな響きと,後者の柔らかく落ち着いた響きの対比が聴きどころだ.オルガンのサイズから弾ける曲は限られるが,倍音ストップが豊かであるため,ストップの組み合わせにより多彩な音色を楽しむことができる.いつまでも愛される楽器であって欲しい. 【仕様】 鍵盤数:手鍵盤2段(各56鍵),足鍵盤(30鍵) ストップ数:10,パイプ数:575本 アクション:トラッカーアクション(機械式) 製造:マッシオーニ・オルガン工房(イタリア) Mascioni, casa organaria, URL: http://www.mascioni-organs.com/ 設置:2002年9月13日 ストップリスト:
カプラー: I al pedale (第1手鍵盤→足鍵盤) II al pedale (第2手鍵盤→足鍵盤) Unione tast. (第2手鍵盤→第1手鍵盤) 効果:tremolo (ヴィヴラート効果) |